2人の男が見つけた注文の多い料理店には店の廊下を進むたびに色々な注文が書いた扉がある。最初の方の扉には「ことに太った方や若いお方は大歓迎いたします。」と書いてある。この物語を最後まで読むと、やっとその意味が分かる。この強烈なブラックユーモア…
短くシンプルで単純な話だ。 しかし、その短さの中に、ドキッとさせるような描写と、クスッとさせるようなユーモアがあるところがいかにも芥川龍之介。 まるで沈没してゆくタイタニック号の乗客たちの光景を連想させる、恐ろしい修羅場の描写。 真っ赤に煮え…
ジョバンニとカムパネラが銀河鉄道の列車で様々な光景や人々に出会いながら移動してゆくファンタジー。 電車旅というのは車窓から見える風景が刻々と変化してゆくから楽しい。 都会から田舎へ。暖かい地から寒い地へ。山が増え、川を渡り、トンネルをくぐり…
読んだ後これほどすがすがしい気持ちになれた小説はかつて無かった。とてもシンプルで、無駄な文章やもってまわった表現の無い、という意味では、私は夏目漱石の小説よりずっとこちらの方が好きだ。 友情を守り、それを証明するため、王に約束をするメロスの…
黒澤明の映画「羅生門」は何度もテレビで観たことがあったが、あの作品はじつは小説「羅生門」を映画化したものではなく、この「藪の中」を映画化したものだということを、この小説を読むと分かる。 さらに映画では、小説「藪の中」に小説「羅生門」の風景を…
芥川龍之介の作品をそれほど沢山読んではいない私は、いくらこの作品が傑作とか名作と呼ばれていても、まだ、この作品の良さ、凄さというものがよく分かっていない。 ただ物事というのは、なんであれ「すぐに理解できるもの」より「後になって良さが分かるも…
昭和の時代に入ってからの小説(昭和14年)なので、文体も現代の小説に近く、とても読みやすかった。 この話は、小説というよりはどちらかというと太宰の日記に近いもので、富士山の近くの茶屋に泊まり小説の執筆をする太宰の様子が描かれているといった感じ…
「女生徒」という字ヅラを見るだけで、男というのは様々なイメージと妄想に囚われるものだ。 主人公はおそらく中学生か高校生くらいの年ごろの女生徒。 そうした年頃の女性というのは日々どんな事を考え、感じ、生きているのか。 これは、男にはほんとうのと…
多くの日本人が名作と呼ぶこの小説。私は初めて全部読んでみた。 しかし残念ながら私には、とにかく話が長く感じたし、表現も回りくどく、可愛げの無い猫の語り口があまりに嫌みに満ちていて、好きになれなかった。 これがユーモアと言ってもいいのかもしれ…
今から100年以上も前の明治時代の作品であるので単語や言い回しで分かりにくい部分も多々あったが、登場人物の個性や主人公の坊っちゃんの気性が面白く描かれていて、それなりに楽しめた。 分からない箇所はその都度調べていると先に進めなくなるので、とり…