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#8「銀河鉄道の夜」宮沢賢治 2019/2

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ジョバンニとカムパネラが銀河鉄道の列車で様々な光景や人々に出会いながら移動してゆくファンタジー

 

電車旅というのは車窓から見える風景が刻々と変化してゆくから楽しい。

都会から田舎へ。暖かい地から寒い地へ。山が増え、川を渡り、トンネルをくぐり列車は進む。

途中、雪が降り始めたり、太陽が出たり、月が隠れたり。

 

この物語の銀河を走る鉄道も、走りながら様々な色彩と光の中を通り抜けながら、どんどん風景は前から後ろへ去ってゆく。

カラフルな色彩と漆黒の宇宙の中の光のキラキラとしたきらめきが文章の中で表現されていて、読むものの想像力を刺激する。

 

また、この銀河鉄道が地上を走る列車と違うのは、車窓からの風景が横への移動だけでなく、上下方向へも移動していてるというところ。

この立体的な描写がすごい。

文字の表現だけで、ぐわっと列車が宇宙空間を縦横無尽に移動している感じが伝わってきて、読むものをわくわくとさせるような想像の世界へと引き込む。

 

物語は現実と想像の世界、生と死の世界、親と子の絆、など様々なテーマをはらんでいて、銀河鉄道とはなんなのか、銀河鉄道の終着駅はどこなのだろう、といやがおうにも考えさせられるのだ。

 

この小説を読んでしばらく後に私はアニメーションの「銀河鉄道の夜」(杉井ギサブロー監督)をレンタルして観た。

登場人物がみんなネコというところが不思議だったが、内容はとても原作に忠実に作られていて、その原作の色彩感覚や時空を超えたファンタジー性がとてもアニメ化するのに向いた小説に思えた。

アニメーションという現代の技術が、宮沢賢治の創造物である美しい色彩と光の世界を蘇らせたと言っていい。

細野晴臣の音楽もよかったです。

 

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